市野川 容孝『社会 (思考のフロンティア)』岩波書店

社会 (思考のフロンティア)

社会 (思考のフロンティア)


今日の社会科学にとって重要な問いは、「社会とは何か」「それはいかにして可能か」という抽象的な問いではない。ある歴史性をもって誕生し、この問い自身が不可視にしてしまう「社会的」という概念を問題化することである。本書では、この概念の形成過程を辿り直し、福祉国家の現在を照射することから、「社会的なもの」の再編を試みる。

公共性という、最近の新自由主義的な世界を考える際に出てくる概念を考えるうちに出会った一冊。公共とは直接イコールでは結ばれないが、この本では福祉国家の参照系としての「社会的」という言葉に注目し、歴史・思想の双方向から現在の可能性について迫っている。主張は興味深かったが、専門用語や引用が何の前提も無しに出てくるので、いかんせん難しかった…。